心理学概論

心理学に興味を持ってもらう為に、自身の考察も含め、できるだけ分かりやすくまとめていくつもりです。

Psychology

「心理学(Psychology)」という言葉を聞いてみなさん何をイメージされるでしょうか。心理学という学問に対して各人思い入れはあると思います。

 

蓋し、学問としての心理学と一般のイメージとは少し相異なるものと思われる。本項ではあらかじめそのような心理学に対する一般的なイメージを打開する必要があるでしょう。 

 

まず、一つ断っておきたいのが「心理学は読心術ではない」という点である。本屋や図書館の心理コーナーに行けば、たくさんの「○○心理学」といった書物を散見されるかと思われますが、中には、エビデンスのない独善的に書かれたものも多く存在しています。(ここでいうエビデンスの意味合いは根拠・証拠といった理解で問題ないです)

人は、心理学的興味に対する単純な、もっともらしい答えを提供される事を求めたがります。また、そのような安易な答えにおびき寄せられてしまうのです。

運勢占い、霊媒、血液型占い、こういった心理テストもどきに安易にひっかかってしまうのは本来人間が相手や自分の性格を簡単にかつ早く知りたいという心理学的興味の現れなのだと思われる。

このようなものは、はっきり言って、その提唱者の主観的な経験に基づいた、一見根拠のありそうな、その実、科学的根拠のない、客観性、再現性のないものばかりです。

 

フロイト(Freud,S.)やユング(Jung,C,G.)の精神分析も同じく、その大部分の理論は実証されたものではないのです。もちろん、精神分析学が血液人間学と同じ類のエビデンスの無いものとは言いませんが、実験的な再現性、公共性のない、あるいは非常に低いという意味では、現代の心理学とは異質な存在です。ただ、心理学の発展に精神分析学は大きな貢献をしてきたことは否定できませんし、それを無視して講義する事も不可能です。

心理学と精神分析学が同じものであると思っている人もいますが、精神分析学は心理学ではなく、その一関連分野であると理解してもらえれば良いでしょう。

 

 

基本的に、心理学は根拠のない事は認められづらいです。そして、これは下方にて読み進めていけば分かってもらえると思います。

 

 

 

・心理学の特殊性

 

心理学が、他の学問と異なる、大きな点があります。それは、「人間は誰でも心理学者たり得る」という点です。

例えば、歴史学の先生に学問的知識および造詣に、将来はともかく始めたばかりの人が太刀打ちするのはとても不可能でしょう。(他の学問でも、大抵そうでしょう)

しかし、「心理学」という分野に於いては「人間は、みな人間」であり、心理学が人間そのものを研究対象としている以上、全員が心理学の実践家であるわけです。

 

とは言え、一般の人の心理観はその人の実践においては、多分適応していたのでしょうが、それをそのまま他人に適応した場合、うまくいくという保証がありません。つまり、再現性、一般性がないという点にあります。

このことは、先程述べた「心理学は根拠のない事は認められづらい」の根底にあるものです。

 

対して、学問としての心理学は、いろいろな実験の結果から得られた再現性のある、客観的データや調査資料、統計処理に基づいた、多くの人に共通した傾向を示したものなのです。

しかし、100%の信頼性を持つとは限りません。心理学の理論は、あくまで多くの例ではそうなるという確率(統計)の問題であって、一つ一つの事例についてすべて適応的であるわけではないのです。残念な事に例外がある事は認めざる得ないのです。

 

 

 

心理学の諸現象は、自然科学のように1+1が2になる世界ではありません。3になることも1になることも、0になることもあります。まずは、こういった理解を根底におき、Psychologyを見ていく事が大切でしょう。